要点
- アナログ・レコードで聴くプルース名盤50選』(スペースシャワーネットワーク,2017)の中で紹介されている50枚のオリジナル盤レコードは視覚的にも濃厚なものばかりだ。
- 本書で紹介されているアナログ・レコードを少しずつ手に入れてレコード・ジャケットを眺めながら聴いていく中で、自分自身が思い込んでいたよりもブルースはもっと深くて広いものであることがわかってきた。
- オリジナル盤にはとても手が出せないが、日本盤や再発盤を少しずつ手に入れながらこれからもブルースへの旅を続けて行こうと思う。
この本『アナログ・レコードで聴くプルース名盤50選』(スペースシャワーネットワーク,2017)の中で紹介されている50枚のオリジナル盤レコードは視覚的にも濃厚なものばかりだ。1枚目のマディ・ウォーターズと2枚目のライトニン・ホプキンズでいきなりノックアウトされてしまった人は、6枚目のサニー・ボーイ・ウィリアムソンで更なるショックを受けるだろう。しかし、23枚目にはブルースの深淵そのものが待ち受けている。ちなみに2枚目のライトニン・ホプキンズ『モジョ・ハンド』米オリジナル盤を新宿ディスクユニオンで7月に見たが、28万円という値付けに盤をめくる手が一瞬震えてしまったことを告白しておこう。
ブルースは声であり語りである。
ライトニン・ホプキンズが口を開くだけで、その場の空気はミック坊ややキース坊やたちが怯えるほど悪魔的なものに変わる。39枚目のミシシッピ・ジョン・ハートがうたい出せば、ほのぼのとした穏やかな春の温かさにまわりがつつまれていくようだ。
ブルースは多様である。
43枚目のロバート・ピート・ウィリアムズはブルースの形式に全くとらわれていない。まさにブルース界の山頭火である。44枚目のJ・B・ルノアー『アラバマ・ブルース』は、1966年にヨーロッパでしか発売されなかったこのレコードのタイトル曲だが、人種差別への静かで深い悲しみや怒りが半世紀のちの現在でも心を打つ。本書で紹介されているアナログ・レコードを少しずつ手に入れてレコード・ジャケットを眺めながら聴いていく中で、自分自身が思い込んでいたよりもブルースはもっと深くて広いものであることがわかってきた。
オリジナル盤にはとても手が出せないが、日本盤や再発盤を少しずつ手に入れながらこれからもブルースへの旅を続けて行こうと思う。