要点

  • アメリカでは、百年ほど前から、ラジオ放送が始まっていた。当時のラジオ受機の広告は「世界の劇場の最前席」がキャッチフレーズ。
  • ラジオを通して、耳から届く音は、テレビの音声と違うことは分かるかな。テレビからの音は情報として耳に届く。
  • ラジオやポッドキャストは、じかに心に沁みてくる。

ワシは、ラジオじゃ。昔のでっかいラジオ受機、それが、ワシじゃ。いまじゃ、ポッドキャストなんぞという便利なものもあって。誰でも、ラジオ的な番組を始められる。で、五丁目ラジオは、聞いとるかな?

そう、アメリカでは、百年ほど前から、ラジオ放送が始まっていた。当時のラジオ受機の広告は「世界の劇場の最前席」がキャッチフレーズ。広告の本文を読んでみよう。

「短い一週間においても、大統領の演説、ニューヨーク・フィルの四つの演奏会、日曜日の教会礼拝、ヘビー級のボクシング試合の実況、そして音楽、教育、全国の最新ニュースといった番組があるのです」どうじゃ、イメージは湧いたかな。大統領の演説があって、コンサートもあって、牧師の説教が聞けて、スポーツと来る。初めてラジオに接した人々は、興奮したよ。

ラジオ受信機の前に家族が集まって聞いておった。そういや、ウッディ・アレンという監督が「ラジオ・デイズ」(1987年公開)という映画を撮っておるな。映画の舞台は、1940年代。映画の出だしは、真っ暗の中、電話が鳴る。どうやら、泥棒が留守の家を物色中。そこへラジオ局から「曲当てクイズ」の電話がかかる。泥棒はつい電話に出て、正解をしてしまう。「当たり!」ということで、翌朝、トラックで冷蔵庫などが届く(もちろん、泥棒は逃げた後)。

次のカットがいい。ニューヨークの海辺の街並み、朝のラジオ番組が流れている。主人公の母が、毎朝、食事を作りながら聞いているのだ。ラジオを聞くのは、習慣だった。

日本のラジオは、1925(大正14)年からじゃ。当時の人気番組ランキングは、「和楽」「洋楽」「落語」「講演」「童話」「家庭講座」「童謡」「義大夫」「講談」「浪花節」の順。当時も、音楽がラジオの主流であった。

音楽好きは、ラジオ好き。音楽のジャンルは変わっても、くつろいで音の流れに身をゆだねるのは同じだ。元気の良いDJもいいが、のんびりとおしゃべりをしている雰囲気も、音楽番組に合っておるな。「あらいごう・あがつまひろし」のとつとつ語りも、いずれは、NHKFM「世界の快適音楽セレクション」のゴンチチのゆったり感に追いつくことだろう。

ラジオを通して、耳から届く音は、テレビの音声と違うことは分かるかな。テレビからの音は情報として耳に届く。だが、ラジオポッドキャストは、じかに心に沁みてくるのじゃ。

彼や彼女に思いを打ち明けるときも、目を見て語るのもいいが、二人して前を向いて座っているときにつぶやく方が、相手の心の深いところに言葉がひたひたと落ちていく。ラジオ的コミュニケーションじゃ。ハハハ。